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玄宮園 その橋、閉鎖したらダメくね?
2021年09月06日

彦根城裏手にある玄宮園。
以前書いた記事では現場の様子をチラッとしかお伝えしませんでした。
今回改めて園内の様子をレポートしたいと思います。
ここね、い~い庭なのですわ♪
ホントい~い庭なのですわ♪
金沢にも兼六園があるんですけどね、あそこは数度の造成・付け足しを繰り返しているせいでどーにも全体として統一感がない。
でもここはひとつの庭としてぴしっとまとまってて、なんかこう世界観がつかみやすいんですよね。

まずは全体の構成から。
出入口は東西2ヵ所。
中央に大池を配し、中島が4つ、その周囲を園路がぐるりと囲むといった構造になっています。
典型的な池泉回遊式庭園ですね。
脇道はほとんどなく、池を軸にぐるりと周遊するというのが基本的な動線となります。

では早速入場、東口から入ります。
いきなり田んぼです。
え?なんで庭に田んぼ?って感じなのですが、これは神事用の田んぼだったそうです。
五穀豊穣を願うと共に、その年の米の出来具合の目安としたとの事。
ただずっと土の下に埋まっていて、復元されたのはごく最近の平成24年。
なので何気に新品(?)です。

そのままつたつたと歩くと、中島へと渡る橋に出ます。
この中島は園内で最も大きな島で、そして唯一自由に歩ける島です。
どうぞ思う存分歩いてください。
1分で歩き終わるけど。(←!)

その中島の左手にある建物がこちら、鳳翔台(ほうしょうだい)。
茶室です。
バリバリの数寄屋造りですね。
仕立てが素晴らしいですわ。
茅葺の寄棟屋根、浅茶色の土壁、細身の丸柱、板を張っただけの縁側、周囲を取り囲む桟敷。
この地味と質素を徹底凝縮させた美しさが数寄屋の特徴。
カッコええな~♪

くるっと振り返って、さっき歩いて来た中島の先に架かるのが龍臥橋(りゅうがばし)。
二連になった木造の反り橋です。
ここで急いで渡らず、ちょっと途中で池を見渡してみてください。
向こうにもう一つの中島が見えるはず。
鶴島です。
その名の通り鶴に見立てて造営してあります。
画像じゃちょっと分かりにくいですが、島の真ん中にぴょこっと長く上に突き出てる石がありまして、それが鶴の首を表しています。

ちょっと目ざとい人なら、「鶴があるんなら亀もあるんじゃね?」とお思いになるかもしれません。
ありますよ、亀もちゃんと。
それは今立っている場所のほぼ真下。
二連になっている龍臥橋の継ぎ目にある小さな島がそれです。
アッチが鶴島なので、コッチは当然亀島。
ただ、正面からの写真を撮り忘れましてね。
この画像に写っている島がそうなのですが、こっちは裏側なんですよ。
亀の頭はこの反対側にありまして、そっちから見るともっと亀っぽく見えます。

龍臥橋を渡ると再び池の外周路。
そのまま道沿いに進むと、カックンと角ばった入り江に出ます。
船着き場です。
パンフレットの地図だと「船小屋」と書かれているので、昔は小屋が建てられていたのかもしれません。
船着き場なので、当然かつてここには船が繋がれていました。
船浮かべてどうすんの?って感じですが、実はこの時代において「池+船」ってのには大きな意味があったのです。
それは上流階級としてのステータス。
庭に大きな池を備えて船を浮かべて遊ぶってのは、社会的地位の高い人間であるという証明だったのです。
今で言えば個人で別荘とクルーザーを所有しているみたいなイメージですかね?

ここでちょっと振り返ってください。
岸辺に玉石がざっと敷かれています。
これは州浜。
砂浜の表現です。
日本庭園というのは何かを「模する」のが好きで、特に海がよくテーマにされます。
これもそのひとつ。
岸辺に玉石を敷き詰めて砂浜を表現し、水際のラインもわざとカーブさせてあります。
こうやってなんとな~く海の情景を作り出し、鑑賞して遊ぶのです。

ついでに足元にも注目。
上ばかり見てると気付きませんが、路面の素材が変わっています。
手前は石敷き、奥は玉砂利。
変化ですね。
こうして路面の素材を変えることで、視覚ではなく感覚で変化を付けているのです。
ニクイ演出です。

さらに進むと右手に飛梁渓(ひりょうけい)と呼ばれる、谷を模した築山が現れます。
谷をまたいで架けられた反り橋が目印です。
なんか白い丸いのあるけど、まあスルーで。(←?)
この橋を見付けたら、ちょっと寄ってみてください。
橋の近くまで来たら回れ右。

そこから見える眺めがこちらです。
玄宮園最強のビュースポット。
手前に池を望み、奥に向かってぐっと空間が広がって、山の上に借景としての彦根城天守閣が雄大にそびえる。
いいですよね!このアングル。
惚れ惚れしますわ!
この画像じゃ天気悪くてなんか全然スペシャル感ないけど(汗)。

そう考えると、この位置に敢えて築山を築いて橋を渡してある事に意図を感じます。
多分この庭を設計した人も、この場所からの眺めが園内で一番と考えたのでしょう。
そこでその眺めをより楽しめるよう、わざわざ築山を築き橋を渡したのです。
つまりこの橋は最高の眺望を思いっ切り楽しんでもらうための橋なんですね。
でもご覧の通り「渡るな」と。
なんともまあ無粋な・・。

さらに池に沿ってすたすた歩くと右手に見えてくるのが楽々園。
彦根の殿さまが隠居所として建てさせた屋敷です。
次回はこちらをレポートします。

以上、彦根城の大名庭園玄宮園のレポートでした。
庭好きにはハートどきゅん!な素敵庭園。
見れば見るほどそれまで気付かなかった魅力が見付かって、何度歩いても飽きない素晴らしい庭です。
彦根城に来る機会があれば、必ずセットで訪れてください。
次回は既にチラッと書いたけど楽々園のレポート。
こちらも浮世離れしてて、見てるだけで胸ワクですよー!